ローズウィンドウ「聖なる光のメッセージ」中山真季

ローズウィンドウ作品制作にあたり、ローズウィンドウ図案・ローズウィンドウ配色の本質的な考え方について説明しています。

進化のための断捨離

ローズウィンドウ作品 「ジオメトリ」

光のメッセージは色で視覚言語的な幾何学をもたらします。この作品も受けとったメッセージです。

どのメッセージも共通するワードは「進化」です。ローズウィンドウの世界は絶えず進化を要求します。どうすれば進化するのかも教えてくれます。

それは断捨離、棄てる事です。私にはそれが強制的に行われます。
一つ一つは小さな断捨離でもローズウィンドウを始めてから生活環境、人間関係、食生活まで激変しました。
進化するため棄てるのか、棄てるから進化が訪れるのか――どちらも同時に訪れてきました。
皆さんには理解しがたいかも知れませんが私は自分の作品さえも棄てています。
どういう事かというと図案は現在進行形なのです。
私にとって図案は過去と現在、そしてまだ作っていない未來の図案があります。
したがって図案作成方法も過去のやり方を棄てる事によって格段に進化していきます。

以前からたくさんの方に図案作成を教えてほしいと頼まれます。
10年前には教えていました。皆さん理解して身につけました。
その結果どうなったか――皆さんが停滞になるのです。10年前のローズウィンドウで時が止まったままです。苦労して身につけた図案作成のやり方を棄てる人はいませんでした。
それでもローズウィンドウはお構い無しに進化していきます。ますます高次元な図案がもたらされます。

時を止めずに一緒にローズウィンドウの旅をしましょう。

 

霊的感覚の再構築

ローズウィンドウ作品 「ムカルナス muqarnas」

ローズウィンドウの役割は人々の霊的生活を支え、世界をどう理解すればよいか――
世界の背後にある捉えにくい現実をどう把握すればよいかを伝えることにあります。
壮麗な教会やモスク、寺院 などは、ただその目的のために傾注された努力の遺産であり、霊的視点によって形づくられています。

ムカルナスはイスラム建築で水平の層を平面と曲線で支えながら積み重ね、上が狭く下に広がった面の連なりは天からの降下を表現し、霊的な光がシャワーのように降りそそいで地上で結晶化するという概念の表現です。
ムカルナスは文明化と引き換えに失われた霊的感覚を無垢の自然が持つ原始的な美を再構築することで補完し、俗世にどっぷり浸かった人間を真剣な熟孝へいざないます。

このローズウィンドウは8回対称幾何学をベースに美の一貫性と多彩性、統一性と多様性の相反する中心の「調和」を形づけました。
調和のとれたシンメトリカルな図形を幾何学パターンで視覚言語を伝えます。

 

光の魔術師:ローズウィンドウの秘密

ローズウィンドウ作品 「モザイクランプ・ローズウィンドウ」

私が新作を作るときと、皆さんがオリジナル作品を作るときとでは何が違うのか。
少しお話したいと思います。それは根本的な色の認識です。

色を勉強する時、色彩検定にあるようなファッション、デザインのための基礎知識、
オストワルトシステムやマンセルシステム、美術で勉強したことのある色相を配置した色相環の補色反対色など、この認識からスタートしようと考えるのが一般的かもしれません。

じつはこの知識はローズウィンドウにとっては大半実践的ではないということです。
絵画や彫刻などの作品は正面から光をあてた反射光を計算した上で色を成立させていく知識です。対してローズウィンドウも薔薇窓も、反射光ではなく後ろから光を取り込む透過光によって成立するアートです。
ローズウィンドウはその逆です。
ローズウィンドウの原点の一つは透過光であり、それを反射光の知識で実践すると訳がわからなくなるのです。根本的なスタートラインの違いです。

ローズウィンドウの色とは「発色」を意味します。ローズウィンドウの色の妙は「発色」の妙なのです。
まず大事なのはどんな光が作品にもたらされるかその「光源」です。
朝日・夕日などの自然光、蛍光灯、ハロゲン、LED、それぞれ光の成分が違います。
そしてそれらはもたらす色温度、色空間さえ変えてしまいます。

この作品は自然光で見ると何とも違和感があります。それはこの作品が生きてこないからです。
この作品はこのランプの最大の魅力である「後ろから火を灯して色彩を浮かび上がらせている」それを想定して制作しているからです。この作品は自然光より人工光で見るのがこの作品は生きてくるのです。

じつは作品にはそれぞれの最適な光源があります。
それにより生まれた色温度や色空間が人の精神に心理的効果として演出されるのです。
それを感性や感覚で受け取り認識していくもので、頭で知識を考えながらするものではありません。図案作りに右脳の思考力が必要であるというのはそのためです。

デザインの反射光の色で考えた作品は、見る人がどんな光の干渉を受けて見るかのイメージが欠落しています。もともと光源のことなど考えてもいません。
この様々なシーンでの鑑賞イメージもローズウィンドウの大事な原点です。
これこそが色の探究であり、それは知識ではなく自身が様々なシーンでの体感として自身の感性として身に着けるものなのです。
その感性は体感という経験によってのみ磨かれていきます。
ローズウィンドウの色の魔術師は「光の演出家」でもあるのです。

 

幾何学的な美

ローズウィンドウ作品 「kaleidoscope-カレイドスコープ-」

カレイドスコープはギリシャ語を元にした造語です。
Kalos=美、Eidos=模様、Scope=見る、という三語を合わせたもので万華鏡の発明者であるスコットランドの科学者、デイビット・ブリュースターによって名付けられました。
カレイドスコープは複数の鏡を組む事でその美しい幾何学模様を生み出します。
アメリカでは1980年代から「心を癒し生きる力を取り戻す」芸術品として広まりました。

幾何学的な美を求めるローズウィンドウと図案発想はよく似ています。
鏡の枚数、組み合わせ方は無数です。
ただし鏡の組み方には法則があり、頂点の角度は必ず360度で割り切れる数字にする事です。
例えば六角形の映像にしたければ60度、五角形なら72度、十二角形では30度というように。(万華鏡の世界では六角形=6P(6ポイント)五角形=5P(5ポイント)という呼び方をします。)
1度でもズレてしまえば幾何学は崩れてしまう為、美しい鏡を組む為には細心の注意と熟練の技が必要とされます。
ローズウィンドウの美の原点と同じ、上下左右の完璧な対称性が求められます。

これも制作はたいへん難しいですが皆さんなら大丈夫です。
会員皆さんには次のステージへの通過儀礼のようにぜひ体感いただきたいローズウィンドウです。

 

霊的な導きと創作

ローズウィンドウ作品 「薔薇と飾り窓」

また前兆がやってきました、遥か遠い次元に浮かぶ小さな色が――
私はそれをこの三次元に具現化するために手繰り寄せていきます。

色だけがぼんやり見えます、とても美しいのです。地上世界では到底考えられない色彩です。
それらに境界線が無いので次元の波長を下げていきます。模様を描き境界線を入れます。
あまりに遠すぎて月日が経ちます。この作業が言いようのない疲労感を生みます。

イメージが突然降ってくる――私はこの過程を経て作品を作ります。

一体どこにアクセスしているのか、それは地上世界に来るまでにいた私の故郷です。
故郷にいる仲間は霊として、私は地上世界で人間として、お互い協力し合いながら一つの目的の為に遂行しています。

なぜ私は突然ローズウィンドウをやることになったのか――。
この答えが十年以上経てようやく見えてきましたが、この長い終わらぬ試練に足が竦むこともあります。
しかし私に降ってくる色彩が故郷にいる仲間とのコンタクトとなり、私に前進する力を与えてくれています。

私は霊媒の純度を高め、地上世界で与えられた役目を果たすことだけです。
どんな未来になるかわかりません。ただ誠実に直向きに。
いつかこの世を離れ、故郷にふさわしく誇りをもって帰れる日まで